皆さま、ご機嫌いかがですか?砂山(@sunayama373)です。
今回は花組大劇場公演『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』を観劇しましたので、感想をまとめておきます。
初日開けすぐのTwitter民の感想がみなさんモヤモヤしてたので「どうなんだろ?」と思ってましたが、私は初見1回だけの観劇でも楽しめました^^
今回も舞台初見のみの印象を書いていきます。ナウオン・歌劇などの関連メディアには目を通していないので悪しからず。
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ピアノの魔術師と称され、19世紀初頭のヨーロッパで絶大な人気を博したピアニスト、フランツ・リスト。超絶技巧に彩られた情熱的な演奏と、女性達を虜にしてやまない類まれな美貌でパリのサロンを席巻し、瞬く間に時代の寵児となった彼が追い求めたものとは…。 ハンガリー人である事を自認しながら、その生涯の中で母国語を話すことができなかったフランツ・リスト。自身の本質的なアイデンティティである“リスト・フェレンツ”として生きる事をその胸の内で願いながら、一方でカリスマ性を秘めたスター“フランツ・リスト”であることを自ら欲し、そして周囲から求められ…その狭間で生きる人生に次第に葛藤を覚えていく。 自らの“魂”の居場所を探し、ヨーロッパ中を彷徨い続ける若き日の彼の姿を、運命の恋人マリー・ダグー伯爵夫人とのロマンスを中心に、最大の好敵手でもあるショパンとの友情を交えて描く。自己とは、自分とは。そして、自分らしく生きるとは何か? を問いかけるミュージカル作品。
宝塚歌劇公式HPより
ショーの感想はこちら↓
誰もが抱える「自分らしく生きる」問題
フランツ・リスト(柚香 光)は「派手なパフォーマンスで一世を風靡したスター的作曲家」くらいの知識レベルで観劇しましたが、こんなにも人間味溢れる人物だったのかと初めて知ってとても興味深かったです。
他人からどう見られているかを基軸に考えてしまうのは、作曲家の様な創作者やタカラジェンヌの様な表現者だけではなく、普通に働いて普通の生活を送っている私の様な一般市民でも気にしてしまう問題。
ブログもそうだけど、昨今SNSは反応が目に見えてわかるような仕組みになっているから、より自分のことが他人からどう思われてるのか気になるような時代になってますよね。
それじゃダメだと、自分は自分で生きていけばいいのだと理解しているつもりでも、気が付いたら他の目に意識が行き、見え方に固執してしまうのがなんとも心当たりがあり過ぎて刺さりました。
自分自身の中にある問題を突き付けられたなぁ…!
一番のライバルで理解者のショパン(水美 舞斗)の言うことを素直に聞き入れられなくて、好きなんだけどめっちゃライバル視しちゃったりも人間あるあるよね…。
めっちゃいい人やのに、ショパン。。。
幕開きの芝居で一気に引き込まれる
巡礼の年
— 砂山🎩ヅカライフブログ (@sunayama373) June 28, 2022
まず幕開きのリストとジョルジュ•サンドの芝居がめっちゃ引き込まれる。スッと物語の中に入ることができるのめっちゃ気持ちいい。
幕開きはリストとジョルジュ・サンド(永久輝 せあ)とのイイ場面で始まるんだけど、この場面がめちゃくちゃイイ!(語彙力)
寝起きに煙草シェアするだけで昨夜何があったのかがわかるの、ホントに良い。
「魂を分かち合った」という名の精神的な依存関係を幕開きに見せることで、リストの弱さを先に理解できるので、その後の虚勢やマリー・ダグー伯爵夫人(星風 まどか)へ一気に惹かれていくリストに感情合わせてみることが出来るなぁと思いました。
それにしても、雰囲気えっちな場面でした。。。最高。
ショパンがいい奴すぎてもう…!
ショパンのリストに対する温かさというか、包容力が半端ない。
リスト自身も受け入れていないリストの「よさ」を理解して、向き合うべき人生の課題を提示してくれる最高の友人且つライバル。
しかもそれが全然嫌味じゃなくて全身全霊の真心からくるものだから、受け取らないリストを見て「んんん!!!」ってなるし、「でもわかる…!」ってなるから、忙しい(笑)
リストとサンドとの関係も理解しながら、サンドを想うショパンくんも奥ゆかしくてよい…。
ショパンくん、内輪でごちゃごちゃするの嫌いそうだけど「サンドちゃんのこと好きなんやろな…」って周りにはバレてるタイプなの可愛い。
誰かが言ってたな、「サンドちゃん、まじサークルクラッシャー」
駆け落ちまでの1場面が凄すぎた
真ん中の芝居が上手すぎて唸っちゃった
— 砂山🎩ヅカライフブログ (@sunayama373) June 28, 2022
リストとマリーが出会って駆け落ちするまでが1場面に集約されてるんだけど、その場面が秀逸すぎて唸りました。
リストが自分の抱えている闇を全て見透かされた相手マリーに対して、救いを求めるかのように想いを伝えていくんだけど、
自分の中にある闇って伝えるのにめちゃめちゃ勇気がいるし、それを言葉にする時って身体の抵抗って生まれてくる。
手が震えたり声が震えたり、息が上がったり涙が止まらなかったり鼻水も出たり、血流だって変わってくるんよね。
それらをこの1場面で一気に放出できる柚香光の俳優力、まじ凄すぎるんだけど…!
それを受け止める星風まどかもすごいんよ。
だから駆け落ち成立するんよね。
これ成立してなかったら「は?なんで?急に?」ってなっちゃうし、その後のお話全部茶番になってしまうんだけど、しっかり成立させて次の展開に持っていく俳優としての力を感じてマスクの中で唸りました…!
ぬおお。
怒涛の後半戦
後半戦は、時代のうねりってことなのか、いろんな角度からのいろんな話が入り乱れて正直「どこまで詰め込むんだーい!」って思ってしまう部分もありました^^
タールベルク(帆純 まひろ)との対決で終わってくれたらめっちゃキレイなハッピーエンドになるのになとも思ったんですよね。だってここから先はきっと大変なことがいっぱい起こる予感しかなかったから(笑)起こったけど。
革命ラップが始まったときは「何事だ!?」と思った
結局、名誉・名声への欲求に向いてしまうリストと共産主義革命とマリーの自立など、まさに「うねり」の中で人々が翻弄され変化していくのについていくのが必死でした。
からの精神世界突入で「ま・じ・か」となります…。
精神世界、突入!
初めてエヴァンゲリオンのTVシリーズを見た時の25話目の気持ちになりました。
怒涛の展開についていくべく全力疾走してたら突然世界が変わって、慣性の法則の力で精神世界に突入する感じ。
嫌いじゃないけど、びっくりする。
ここでも真ん中陣の俳優力でお話成立させてくるからホンマにすごい。
ここでは水美舞斗・永久輝せあのショパン・サンドもすごいんよね。
リストがショパンの元にこれまでに手にした名声を全て置いていき、ショパンも役目を終えたかのようにサンドの下で眠り、サンドも「私の王子様」をようやく見つける。
みんなそれぞれに求めていた場所にたどり着いて良かったけど、何だろうこの切なさは…みたいな、ね。
とても静かなエンディングのイメージだったけど、巡礼の果てにそれぞれが穏やかな自分をとり戻した、ある種のハッピーエンドなのかなと思いました。
おわりに
今回は花組大劇場公演『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』の感想でした。
巡礼の年
— 砂山🎩ヅカライフブログ (@sunayama373) June 28, 2022
ダニエルの批評、表現者の本質をつくような批評だという話を聞いて、そういえば劇評書きたくてブログ始めたんじゃなかったっけ??って原点回帰しました😌
そんなん、もう書き方忘れとるわぃ😇
私自身、このブログを作ったときは「劇評」的なことを書いていこうと思ってたんだけど、SNSの発展と共に多くの方に見ていただけるようになって、いつしか「面白いと思ってもらえてるかな…」って、他人のモノサシを当てるように書いていた時期があったのを思い出しましたよ…。
まぁでもその期間もあって今の形になってるので、これからも変化も受け止めつつ自分らしく書いていき、最終的に穏やかな自分をとり戻せたらいいなと思います。(突然の自分語り)
「巡礼の年」、もう何回か見ればさらに理解も深まるし、東京公演の頃にはもっと芝居も変わってるんだろうなと思うと、演る側も観る側も深化しそうな作品だなと思いました。
ショーの感想はこちら↓
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