2019年9月7日、宝塚宙組・瑠風輝主演『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』を観劇してきました!
思うところも色々あったのでうまくまとまるか謎ですが、感想を書いていきたいと思います!
ネタバレを含みますので、これから見る方や放送を楽しみにしている方はお気をつけください^^
宝塚版『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』のあらすじと感想
あらすじ
アメリカの大学に通うジョンは学校では超人気者で誰からも愛され、慕われている存在。そんなジョンに憧れている引っ込み思案なパーシーは、夏休みにジョンを自宅に招く。
パーシーは「我が家は世界一の金持ち」と名乗るが、僻地にある自宅はリッツホテルくらい大きなダイヤモンドでできており、その中で暮らす人々でコミュニティ(楽園)が形成されている。ダイヤモンドの富で人々は豊かに暮らしている。
パーシーの妹キスミンと心通わせるラブロマンスもあり、贅沢の限りを尽くした休暇を過ごす中で、パーシーから楽園の秘密を打ち明けられるジョン。楽園がダイヤモンドでできていることを知られてしまうと、ダイヤの価値は大暴落してしまうから人に知られない僻地に自宅があること、上空からでも見つかればマズいから、飛んできた飛行機は全て撃ち落とし、飛行士を監禁していること。
ジョンはキスミンを連れて逃げようというが、キスミンから「招かれた客は夏の終わりに殺される」と聞かされる・・・。
全体の感想
設定がぶっ飛んでるな、というのが第一印象。
フィッツジェラルドの小説は全然読んだことがないし、宝塚でも上演されている同原作者の作品も見たことがないので、ぶっちゃけどんな作風の作家なのかとか全然知らないんだけど、この作品はとびぬけてファンタジー要素が強い作品みたいですね。
一幕で特に目を引いたのは、金持ち過ぎて意味不明な仕掛け。
謎デザインのスーパーカー、家の中を行き来できる転送装置など、ファンタジー要素が一昔前に感じるのは、原作が少し古いからなのかな。
そんなぶっ飛んだ作品感の中にも、アメリカの奴隷問題とか、経済問題、戦争の始まり、男女の扱いなど、いろんな要素が詰まっていた様な気がしますね。
いろんな問題が詰め込まれている中で、ラブロマンスまでぶち込んできたから、2幕はなんかちょっと散らかって終わってしまった印象が否めません。
ラブロマンスいらんかったな。いや、ある方が宝塚的にはもちろんいいんだけども。
むしろ1幕を見ている時点では宝塚歌劇というよりは演劇の作品を見てる感覚に近かったので、そのまま2幕もやってほしかったですわ。
では次にキャスト別の感想へ。
宝塚版『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』キャスト別感想
今回は特に、この役者がすばらしかった!!!!という方はピックアップできませんでしたね。。。
何だろう、アンサンブル多めだったのもあるけど、脚本に役者がついていくのに必死だったのかな。。。
主演まわりのキャストをピックアップしてまとめていきます。
ジョン:瑠風輝
まずは初主演おめでとう!の瑠風。
いや本当に、もえこの頑張りは半端なかったですね。
とにかくジョンの役作りは素晴らしかった。
正直、脚本に書かれていない人物像や行間をしっかり埋めて役を作ることができない人がジョンを演じていれば、1幕と2幕は別人のジョンになっていたでしょうね。
脚本の問題もあると思うんだ。1幕と2幕でジョンの描かれている個性が違い過ぎるけど、お話ではそこの変化の流れや気持ちの流れまでは描かれていないから、役者が自分で補完しないといけない。
役者だったら当たり前に出来て欲しいところなんだけど、これをしっかり綿密にできる人ってなかなかいないんだよね。。。
もえこのジョンは、作品設定が破天荒なのにジョン自身はしっかり芯が通っていて、非常に見ていて安心できました。
パーシー:鷹翔千空
こってぃのパーシーは相当難しい役だったろうな…。
まず学校パートの引っ込み思案のパーシーから、楽園の当主を任されジョンを殺さなければならない立場となったパーシーの気持ちの流れを作っていくのは非常に難しかったんじゃないかなと思います。
いろんなアプローチがあると思うんですよね。
ジョンに憧れているあまりゆがんだ愛情を持ってしまうパターンや、存在自体に執着してしまうパターン 、純粋に友達として尊敬しているパターンなど、いろんな作り方が考えられると思うんです。
それぞれのアプローチの仕方によって最終的にジョンを殺す時の気持ちの高まり方っていうのは絶対にどのパターンも同じにはならないはずですよね。
こってぃの中でどのパターンでやってたのかっていうのがはっきり伝わってこなかったと言うか、少し甘かったのかなっていうのは感じました。
だからジョンに縋りついたときにちょっと笑いが起こっちゃうんだよな。笑うとこちゃうし、笑わせることでもないのに。
引っ込み思案からの極端な個性を出すっていうのはなかなか難しいかもしれないですけれども、そこが見たかった!そこが見えたらもっと魅力的なキャラクターになっていたのに…!と正直思っちゃいましたね。
キスミン:夢白あや
こってぃ演じるパーシーの妹で、世間と関わりを持たず楽園の中で過ごしてきたキスミン。
登場時に可憐さを強く印象付けられ、「あっこれは恋しちゃいますよね~」と思わずにはいられなかったですね。
なかなかめまぐるしく色んな面を見せる役で、演じるのも複雑だったのではと思います。
ここにもっと整理がつけば、見る側もかなり見やすくなるのではないでしょうか。
ほかのキャストの印象をザッと。
・芝居ができる娘役も多いので、一人一人役が欲しかったなぁ。集団芝居も可愛いのだけども。。。
・りっつの飛行士がカッコよすぎてビビる
・あられちゃんは今回も元気!
・まりんさんとあおいさんの無駄遣い
・黒塗り執事3人衆(まっぷー、ゆいちぃ、なべ)のコミカルさからの狂気への転換は流石…!
おわりに
今回は宝塚宙組・瑠風輝主演『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』の感想をまとめてみました。
瑠風輝はじめ、出演者の頑張りは素晴らしかったです。
いかんせん描かれていない部分が多すぎて少しモヤっとしたものが残る公演でした…!
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