皆さま、ご機嫌いかがですか?砂山(@sunayama373)です。
今回は花組シアタードラマシティー公演『銀ちゃんの恋~銀ちゃん、本日も反省の色なし~』を観劇しましたので、感想をまとめていきたいと思います。
人気の演目だし、コネもツテもないので見れないだろうなと半ばあきらめていたのですが、ご縁あって大阪公演の初日を観劇することができました…!
高校生のころVHSで死ぬほど見た『銀ちゃんの恋』。2008年と2010年の再演も観劇しましたが、もう一度見ることができてめちゃくちゃ嬉しかったです…!
初演への想いが強すぎる作品の一つ
再演モノの作品って、初演への想いが強すぎると素直に舞台を観て楽しめない…ってことありませんか?
私は『銀ちゃんの恋』の初演を観劇することは出来なかったのですが、友人から借りたVHSをすり切れるほど見て、何回見ても号泣して、そこからアングラ演劇を知り、劇団☆新感線などの関西小劇場界にも興味を持ち…と、結構思い入れが深い作品なんですよね。
だからなのか、再演をドラマシティで観劇した時は、映像演出や銀ちゃんの客席からの登場などを素直に見れなくて後悔した思い出があります。もう11年も前になるんですね…。
なので今回は「素直に観ることができるかな…?」と一抹の不安を抱きながら観劇に挑んだわけですが、、、
めっちゃ泣いた…。
それこそ初演のVHSを鼻をかみながら見ていた高校生の頃のように、劇場で号泣してしまいました…。
物語と役者さんの熱量をストレートに受け取ることができてうれしかったし、花組さんのパワーも凄かった…!
水美舞斗の芝居がめちゃめちゃ繊細
マイティ―(水美舞斗)の銀ちゃん、すごくスッと入ってきた。
銀ちゃんって、めっちゃ自分勝手だしすぐ人のこと殴るし小夏ちゃんのこと大事にしてくれないしマジでクズ野郎だなって思っちゃうんだけど、どこか憎めない…そんなキャラ。
これは私の問題かもしれないけど、私↑こういうキャラのことを「どこか憎めない…」って感じたことがなくて^^;
「え?なんで??マジクズやん!!なんで???」ってなることが多いんだけど、マイティーの銀ちゃんはホントに憎めなかった。
多分、弱いから。
弱さの表現が的確だからだな。
「俺のこの小さな肩幅で…」的なセリフで客席は笑ってたけど、ホントに小さく見えたもんな。
銀ちゃんの偉そうで自信家っぽく虚勢を張っている部分と、本当は気が弱くて人の目を気にしながら生きている部分がしっかり作り込まれているからこそ、無意識のうちに共感する部分があって「憎めなく」なるんだろうなぁ。
特に一幕ラストの虚勢と弱さが入り乱れている感情の表現が秀逸でした…!
めっちゃ繊細なお芝居・役作りなんだなと感じました。
飛龍つかさのヤスも素晴らしい…!
『銀ちゃんの恋』って、いい芝居になるかどうかの98%くらいはヤスにかかってる…!みたいなところあると思うんですけど、つかさ君のヤス、めちゃくちゃよかったですね…!
ヤスって、銀ちゃんの舎弟で物語の中心にもなる人物だけど、他の大部屋俳優たちの中にいて存在感や華が立ってしまうとそれはそれで物語に違和感を生んでしまう、絶妙に取り回しの難しい役だと思うんです。
そんなヤス役で飛龍つかさ君は、クドくなく、必要以上に目立つこともなく、ただ色濃く存在して物語を運んでいってくれるんですよ。
めっちゃすごいことだと思うんです、これ。
台詞の発し方、立ち方、表情、すべてが宝塚歌劇で求められているものと正反対のものを要求されているかのような役で、ただ作品は間違いなく宝塚歌劇で、その違和感だらけの中で銀ちゃんへの想い、小夏ちゃんへの想い、映画俳優としての葛藤が絡み合うから余計に泣けるんだよなぁ…。
つかさ君は、ラストに登場するヤスと銀ちゃんのどんでん返し遺影を持って帰りたいそうですwさすがにデカい。
星空美咲の小夏ちゃん可愛すぎる
小夏ちゃんを演じた星空美咲ちゃんも素晴らしかった。
まだ粗削りな部分も感じたけど、感情が爆発するときに声がひしれる感じがとっても人間味があってよかったです。
大女優が人の心に触れるたびに気持ちが動いていく様子もすごく伝わってきて、小夏ちゃんにもめっちゃ泣かされました…。
歌もめちゃくちゃ上手いですね。
あとすごく可愛い。
一幕中盤からもうずっと泣いている。
今も舞台を思い出したら泣きそうなんだけど…。
一幕の「ちゃんとプロポーズしてよ」からラストの「やっぱり銀ちゃん、そーでなくっちゃ!」までずっと泣いてましたから。多分隣の方にはドン引きされましたね。
いや、隣の方も泣いてたからおあいこだよね…!
特に、2幕階段落ち直前のナンバーが一番ヤバいんすよねぇ。
「3人の心」と言う曲名がつけられていますが、原曲は「悲しき日々」という曲で、歌詞もオリジナルのものをそのまま使用されているようです。
石田先生やつかこうへいが書いたわけではなく、シンガーソングライターの金森幸介さんが作詞作曲されたものですが、なんでこの作品にこんなにもドンピシャなんでしょうね…!
銀ちゃん・小夏ちゃん・ヤスに割り振られたパートの歌詞もそれぞれにピッタリすぎる…!
それにメンバー全員でのコーラスが乗ってきて、もう涙止まんなかったすわ…。
コメディ要素が強く感じるけど、タイトルに「プレイ」って冠がついているとおり「芝居」なんだよね。
「芝居」って、舞台上でフィクションとして繰り広げられるけど、客席で座ってみているだけでも実際に気持ちが動いて心がギュッとなって、観る前と観た後でちょっと自分自身の視野や世界の色が変わったように見えるから面白いよね。
宝塚だからミュージカルにはなっているけど、タカラジェンヌが真っ向から「蒲田行進曲」って戯曲に挑んでいっている感じ、めっちゃ好きです。
おわりに
今回は花組シアタードラマシティー公演『銀ちゃんの恋~銀ちゃん、本日も反省の色なし~』の感想をまとめました。
宝塚歌劇でアングラ演劇を題材にしているのって『銀ちゃんの恋』くらいだから、これからも宝塚歌劇のレパートリーの一つとして、隠し玉として持っておいてほしいな。
唐作品も観てみたいけど、だぶん無理だろうなぁ…^^;でも個人的にはめちゃ見たい…!
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