皆さま、ご機嫌いかがですか?砂山(@sunayama373)です。
今回は宙組シアタードラマシティ公演『プロミセス、プロミセス』を観劇しましたので、感想をまとめていきたいと思います。
コロナ禍で劇場から客足が遠のいているのを客席にいながらでも実感する状況の中で、久しぶりに超チケ難の公演でしたね…。
奇跡的に1回だけ観劇することができたので、いつもより集中力高めで観劇しました。
ブルーレイ•ライブ配信•スカステ放送はなし?
かなりのチケット難のため、映像を期待している方も多いと思いますが(私もその一人でした)、円盤販売・ライブ配信・スカステ放送もないようですね…!
かなり著作権が厳しいのかな。パンフレットにも「アメリカ合衆国著作権法の下~」という記載がありました。
一緒に掲載されているURLを確認してみたところ、アメリカの芸術家たちを守るための団体?のページに飛びました(全部英語)。ここが著作権を管理しているのかな?
日本には「芸術家を守る」ような団体ってあまり聞かないから(あるかもしれないんだけど、私は知らないし、たぶん一般に知られていない)流石アメリカって感じですね。
ブロードウェイミュージカル×宝塚歌劇
観劇しながら「ブロードウェイミュージカルを宝塚歌劇でやる意味って何だろうな?」と考えていました(集中力どこ行った?)
生徒さんやスタッフ・関係者の皆さんにとっては、海外作品制作に携わることで大きな経験値となってスキルアップにつながるのかな。
客席にとってはどうだろうか?宝塚歌劇を通じてブロードウェイミュージカル文化に触れることができて、心が豊かになることは間違いないか。
気になるのは「宝塚歌劇を通じて」の意味。
「来日公演」だって「宝塚以外のカンパニー」だって、素晴らしい舞台を観劇したら心は豊かになるもんな。
で、いろいろ考えて砂山的にたどり着いた結論としては「宝塚歌劇という虚構の環境の中で不倫が蔓延する状況をファンタジーに転換して、その渦中にいる人々の感情をリアルに描くことで観客との同化を強め、また主人公が第4の壁を突破してくることで異化作用を用い、観客の内に芽生えた感情を判断させるめっちゃ演劇的な作品」ということになった。
おい、もっとわかりやすく説明しろ
すまん、つい熱くなった
宝塚歌劇が虚構の環境であるというのは私がずっと感じていることで、宝塚が大好きな要因の一つなんですよね。
その虚構の環境の中で役者がよりリアルに感情を表現することによって、観客はより物語の中に没入して同化しそうになる。同化ってのは、感情移入というか、物語の中に自分(観客)も入ってしまう感覚になるような感じ。自分の人生では体験できないことを演劇を通じて体験することで心理的浄化(カタルシス)が起こったりする。
けれども本作の主人公・チャック(芹香斗亜)はちょいちょい第四の壁を越えて客席に話しかけてくるんですよ。
第四の壁というのは、舞台と客席を分けるプロセニアム・アーチにかかる想像上の見えない壁。透明な緞帳みたいな感じ。
演劇や舞台芸術は舞台側でおこなわれている出来事を第四の壁を隔てて観客が客席から観るのが、まぁ一般的な感じですよね。
チャックはその壁を突破して観客に話しかけてくる。そうすることで、観客の完全なる没入を阻害して、物語の中にいながら観客に自分の意志で状況を判断する余地を与えることができるんだよね。これを異化(効果)といったりする。
あ、これに関しては私の持論も入っているから、詳しく知りたい方は「第四の壁」とか「叙事的演劇」とかで調べてみてください。面白いよ^^
いろんな演出家がいろんなやり方で試みてきた演劇的手法だけど、これを宝塚歌劇でやることで、めちゃくちゃ見やすい作品になってるんじゃないかなと思いました。
多分ね…めっちゃ実力派の男優さんとかが演ると、すげームナクソ悪い気分になってしまうような気がする。原作や映画見てないんで、アレですけど。
宝塚の虚構性(ファンタジー)がムナクソを幾分か和らげてくれて、より物語に入って行きやすくなっているように感じたんです。これは宝塚歌劇を観る観客は女性がめっちゃ多いって言うのにも合っている感じがする。
会社の中で不倫が蔓延しているような最悪な状況の中で、出世して幸せも掴みたいチャックや、不倫と分かってるけどどうすればいいか分からないヒロイン・フラン(天彩峰里)に同化や異化を繰り返して
「なんでそんなことするん?」
「まじか!」
「切な…」
「大丈夫か!?」
と観客は主人公たちの友人的なポジションで作品を楽しめる感じになっているような気がするんですよねー。
なので、ガチで不倫の渦中にいる人が見ると結構シンドイかもなぁー。
そういった意味では公演プログラムに原田先生が書いてある「宝塚歌劇として表現し得る限界に挑戦し、演劇の原点に立ち返る思いで作品に向かい合っている」というのは、なるほどなーと思いました。
ブロードウェイミュージカル、どこ行った?
どこいったんやろ???
正直、やっと原田先生が宝塚の特性をうまく活用して作品作りしてくれたなーと感じました。(観れてない作品も多いので、結構前からだったかもしれないけど)
まぁいろいろ書きましたが、一言で言うと
コメディーで面白かったよ!!!!
って感じですね。(一言で言い過ぎでは?)
芹香斗亜の軽快なセリフ回しがハマる
プロミセスプロミセス
— 砂山🎩ヅカライフブログ (@sunayama373) November 15, 2021
キキちゃんの軽妙な台詞回しが心地よい。ちょっと舌足らずなのも今回は可愛さに変わる感じがあった😌
開演前に緞帳が上がって、みんな一斉にオペラグラスをあげたから
なんだ?そんなにセットの仕掛けが凝っているのか??
と思っていたら、キキちゃん板付きしていたんですね…!そりゃチェックしたくなるわ^^
個人的にはキキちゃんは重い芝居をするより軽めのタッチのキャラクターの方が似合うと思っているので、今回のチャックはピッタリだなって思いました^^
チャックが第四の壁を越えてくるって話、上記で書いたんだけど、キキちゃんの壁の越え方がとっても気持ち良かったです。これ、下手な役者がやると鳥肌が立つくらいサブい演出になるんですよね。客席に話しかけているはずが、客席置いてけぼりになってしまう、みたいな。
そうならないように、客席がちゃんと全員で「あなた」になるように作り上げてくれていたので何のストレスもなく物語に乗ることができました^^
平凡でみんなにいいように使われちゃうさえないチャックは宝塚歌劇の主人公的ではないかもしれないけど、チャックだけは女の敵にならない描き方はとっても好感がもてたなぁ。
天彩峰里の女優度がさらに高まる…!
『夢千鳥』で半端なく女優っぷりをあげたじゅっちゃん(天彩)だけど、今回もさらにさらに女優度高まってた…!
特にフランの不倫に思い悩む感情がリアルで、シェルドレイク(和希そら)といるときの、幸せだけでない複雑な想いを観客と共有することで、チャックのフランへの片思いの切なさがより倍増しているような気がしました。
なんでこの人のこと好きになっちゃったんやろー(フランに同化)でも好きなんだよなぁー(チャックに同化)切ないー(からの異化)
観てるこっちの感情も同化と異化が複雑に絡み合ってくるのを感じました。
和希そらのクズ男の役作り
プロミセスプロミセス
— 砂山🎩ヅカライフブログ (@sunayama373) November 15, 2021
シェルドレイクは自分のことクズだと思ってないし、和希そらもグスだと思って役作りしていないような気がした。それがすごく良かった。
客観的に見たらクズなんだけど、俳優まで役のことグスだと思って役作りしてしまうと、クドすぎで見てられなくなるもんなぁー
シェルドレイクはいろんな女の人と関りを持ち、約束しては守らずにどんどん女を変えていく、まさに「女の敵」の様な男。
だけど本人にはその自覚はまるでなくて「俺は一人一人真剣に付き合ってたんだ!」って言っちゃうタイプなんだろうな。
今回和希そらの芝居がめっちゃいいなと思ったのは、たぶん和希自身が「これまでも一人一人しっかり愛してきた。今はフランをちゃんと愛している」っていうスタンスで、コメディに流されずに役を作っているんだろうなと感じたところ。
作品全体のテイストとしてコメディ色が強く、役者的にはコメディに乗っかる方が楽しかったりするんだけど、ブレずに重く演じてくれたので、シェルドレイクがより一層ずるくて愚かな人に見えてとってもよかった。
輝月ゆうま、専科デビューおめでとう!
まゆぽん(輝月)がついに専科デビュー!
まゆぽんの芝居を月組以外で見るのは初めてだけど、やっぱり安定してる…!
チャックとのナンバーも息ぴったりで、カンパニーへの順応性もめちゃくちゃ高いんだろうなと感じました…!
これからいろんな組でまゆぽんの芝居が見られるのがますます楽しみになりましたね^^
背の高い外国人のおじいちゃん、いるよなぁー
愛海ひかるが休演、代役に留依蒔世
初日一週間前に飛び込んできた休演のお知らせ…。
当ブログでは割と頻繁にチェックさせていただいているあられちゃん(愛海ひかる)の休演でした…。
結構大きい役が付いているということで楽しみにしていたのですが、今はしっかり休んで体調を整える時期に充てていただきたいですね…!
そして、代役にあーちゃん(留依蒔世)とのこと。
これに関しては、発表された時点ではそんなに驚かなかったんですよ。
元男役のあられちゃんに大きな役が付いている時点で、男役経験の活かせるパワー系女子な役どころなのかな?って何となく思ってました。
蓋を開けてみたら、留依パイセンがハイパーパワー系女子として昇華してくれていました…!
かぁーーーー
— 砂山🎩ヅカライフブログ (@sunayama373) November 15, 2021
あんな美味しい役、初日1週間前に降板することになるなんて…悔しかったろうな………
でもじっくり作り上げた役をルイパイセンに引き継いで、パイセンが見事に昇華してくれてるのだと、私は信じている…!(妄想)
あーちゃんはご自身の本役もあるけど、マージとしてのパフォーマンスも短期間のお稽古で作ったと思えないくらいの仕上がりでした。
あとご自身がめちゃくちゃ楽しんでやっているのも感じられて、ちょっとおもしろかったですねw
セットが素敵
舞台装置もとっても素敵でしたねぇ。
高低差があり、いろんな部屋の空間で仕切られているけど全て繋がっている感じの回り舞台。
演じている人は上まで登っていくの怖くないのかな…手すりとかなかったよな…キキちゃんに至っては舞台回りながら歌いながら登っていたような…!
チャックの部屋の奥にバスルーム?につながるピンクの扉があるんだけど、どうしても「どこでもドア」に見えてしまう罠から抜け出せなかった…!
おじさんずに胸アツ
不倫をしまくる会社の重役おじさんず(松風輝・紫藤りゅう・若飛りつ・ 澄風なぎ )が滑稽で面白かった。このおじさんたちが滑稽であればあるほど、シェルドレイクの愚かさも際立つんだろうな。
個人的にはこのおじさんずにたっくさん(澄風)が入っていたのが胸アツでした。
歌えて芝居もできるのにあまり目立たなかったたっくさんが、ついに役付きナンバーありで舞台ツラで歌っている…!アツい…!
おわりに
今回は宙組シアタードラマシティ公演『プロミセス、プロミセス』の感想をまとめました。
はぁー、もう一回観たいな…。
でも一回だけでも観ることができた奇跡に感謝しつつ、作品の余韻をまだまだ楽しみたいです^^
じゃ、原田作品ってことで、恒例のあれやります。
せーの
グスティ―――――!!!!
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