皆さま、ご機嫌いかがですか?砂山(@sunayama373)です。
2021年宝塚歌劇星組公演『ロミオとジュリエット』公演期間中にたびたびトレンドに上がる【愛ちゃんの死】というキーワードは、コアな宝塚ファンのみならず、星組を見たことがない宝塚ファン初心者さん、別ジャンルの「愛ちゃん」のファンの方の間にも【愛月ひかる】という存在を知らしめているような現象になった。
そこで、今回は「愛ちゃん、あんまり見たことないんだよなぁ」「宝塚とか愛ちゃんに興味出たけど、どんな作品に出ているんだろう??」と思っている方に対して、超私の個人的ベストオブ愛月ひかるを勝手に紹介したいと思う。
宙組作品が中心になるので「星組に組替えしてから愛ちゃんが気になる様になった」と言う方も是非参考にしてほしい。
2017年宙組公演『神々の土地』
『神々の土地』で愛月ひかるが演じた「ラスプーチン」はまさに怪僧。
そして愛月の表現はタカラジェンヌとしての表現の枠をぶち破り、怪しく、汚らしく、嫌悪感と恐怖をこちらに放ってくる。
なんならラスプーチンの体臭まで臭ってきそうな役作り。
ラスプ、お前、絶対風呂入ってないやろ…(褒めてる)
桃の食べ方が最高に汚い。(褒めてる)
この役に関して「愛ちゃんやりすぎ。正直引くわ。。。」という意見があるのも確かで、それに関してもわかる。
確かに宝塚歌劇の作品においてここまで醜悪に役を作る必要があるのか、賛否が分かれるところでもあると思う。
しかし、ラスプーチンの存在はおそらく同じ板の上に乗っている他の役者たちにも重くのしかかり、故に作品のスケールをさらに広げる根源にもなっているのではないか。
他の役も同じだが、ラスプーチンもまた極限まで役を深めないと「作品」が成立しない。
演劇、歌舞伎、バレエ、映画、ドラマ、どれもそう。宝塚歌劇だから美しければOK、なわけがない。
そこにタカラジェンヌとして果敢に挑んでいった愛月は最高にかっこいい。
ラスプーチンが大階段の上で息絶えるとき、壇上をズルっとずり落ちて死ぬ。その計算された死に姿も素晴らしい。
かつて大階段から転落したことがある愛月ひかるは、大階段さえも自身の表現に組み込むようになったというタカラジェンヌ的なストーリーも最高である。
ロミジュリAのティボルトも階段上で死ぬが、その姿も素晴らしかった。
2014年宙組公演『SANCTUARY』
愛月ひかるのバウホール初主演である『SANCTUARY』も超おすすめ愛月。
「王子」だけど陰があり、情熱的。めちゃめちゃカッコイイ。
個人的にはパンフレットの最後の方に乗っているアンリ王子の後ろ姿のお写真もめちゃめちゃ好き。
後ろ姿からでも叫び声が聞こえてくるようだ。
愛月ひかるのことを「表現力の人」だと思った初めの作品が『SANCTUARY』かもしれない。
私たち日本人にとってはキリスト教の宗教戦争はとても縁遠いもののはずなのに、アンリの苦しみや葛藤がダイレクトに伝わってくるお芝居によって、ガンガン作品の世界に引き込まれていく感じがする。
この時まだ研8というのが信じられない。
映像でも見応えがあるので、スカイステージ放送時は是非チェックしてみてほしい。
2018年宙組公演『不滅の棘』
砂山は初演の『不滅の棘』も観劇していて、その時も作品力に度肝を抜かれたが、愛月ひかるが主演した再演もめちゃめちゃ好き。
少年時代から不滅の身体を手に入れて348歳になったエロールの、歳をとっていく過程の作り込みがすごい。
父親から薬の実験台にされた少年期、フリーダと出会う青年期、カメリアと踊るのは壮年期、そして作中の大幅を締める晩年期のエロールの雰囲気が回想や思い出と共に変わっていく。すべて同一人物でありながら当時を切り抜きとても細かく表現する。
終盤、愛月演じるエロールが客席まで降りてきて
「終わりがあるからいまという時間に価値が生まれる」
と、やがて死ぬことが決まっている人間に対して、客席にいるすべての人間に対して、憎しみと羨望が入り混じった絶唱を投げかけるナンバーはどうしても涙が流れてしまう。そんな声で泣かないで、と。
あの客席の巻き込み方はドラマシティ規模の劇場だとダイレクトに届いてくる。ガッツリ作品に巻き込まれてビリビリくるやつ。
そこに愛月ひかるという表現者がいるのだ。
BDやDVDは発売されていないので、タカラヅカオンデマンド・スカイステージ放送時はぜひチェックしてみて欲しい。
番外編
ここからは番外編としてちょっとかわいい愛月ひかるを紹介したい。是非見てほしい。
『TOP HAT』アルベルト・べディーニ
『TOP HAT』で愛月が演じたイタリア人ファッションデザイナーのアルベルト・べディーニも強烈なインパクトを残した。
全場通して「訛り」がキツく、何喋っているかよくわからない。
けどなんか面白い…!
言いたいことは何となくわかるというなんとも不思議な役。
物語が進んでいくうちになんだかアルベルトに愛着がわいてくるので、最後はちょっとかわいそうだなとさえ思ってしまう。
パジャマストリップは必見。
『クラシカル・ビジュー』S11
トップスター朝夏まなとのサヨナラ公演『クラシカル・ビジュー』11場は、組子たちが宝塚を去るトップスターと1フレーズずつダンスで絡んでいくシーンがある。
下級生は大人数口で朝夏まなとを囲んで絡む振り付けになっているが、上級生になるにつれて人数が少なくなり、当時次期トップスターである真風涼帆や愛月に関しては1人で朝夏に絡むのだが、朝夏の懐に入る愛月は、完全に娘役の顔をしているので必見。
まさに「黒燕尾を着た娘役」。
可愛すぎか。
NOW ON STAGE『不滅の棘』
スカイステージで『不滅の棘』が放送されるときは、本編ももちろん見ていただきたいのだが、「NOW ON STAGE」が一緒に放送されるのであれば、ナウオンも是非見ていただきたい。
『不滅の棘』は舞台セットやお衣装が白で統一されていることもあり、ナウオンでの出演者の服装も白ベースで統一されている。さらに愛月は肌が白いので、もはや真っ白である。
そんな愛月が顔を真っ赤にしながら
「私、かっこつけるのが本当に苦手で・・・」
と言うのだ。
画面の中の愛月に向かって、みんなで言おう。せーの。
どの口が言ってんスか。
あれから月日が流れて、息をするようにかっこつけるようになった愛月はもちろんカッコイイが、かっこつけ方に悩んでいる時期の愛月もかわいいので是非見てほしい。
まとめ
今回は、愛月ひかるが気になった方にチェックしてほしい愛月3選を紹介しました。
- 『神々の土地』ラスプーチン
- 『SANCTUARY』アンリ
- 『不滅の棘』エロール
完全に個人的見解なので、もし読者さんの中に「この愛ちゃんを見てほしい…!」などがあったら是非コメント欄に書いていただけると嬉しいです。
そして、この記事を読んでくれた「愛月ひかるが気になって仕方ない方々」の参考になれば幸いでございます。
コメント
コメント一覧 (4件)
私が愛ちゃんにハマった作品は「モンテ・クリスト伯」です。本公演ではトップコンビの息子を初々しく演じ、新人公演では主役、モンテ・クリスト伯を演じ、本当に同じ人❓️の役者ぶりと、新人公演での涙の演技は忘れられません
ふくのおばちゃんさま
コメントありがとうございます!!
モンテ懐かしいです^^アルベール君もよかったですし、新公のエドモンも素晴らしかったですね…!
愛ちゃんのぶっとんだ演技と言えばやはり「王妃の館」の金沢貫一ではないでしょうか⁉︎ あのコテコテの関西弁…さぞや練習されたことだと思います。ネイティブにしか聞こえません!コメディも最高ですね!
貫ちゃんもよかったですね!なんか変な人だけど悪い人ではなくって、観れば観るほど愛着の沸くキャラクターでした^^