観劇記・感想・作品考察

宙組大劇場公演PHOENIX宝塚観劇記

凰稀かなめサヨナラ公演第二部はグランド・ショー『PHOENIX宝塚!!』。
『Amour de 99』に引き続き演出家・藤井大介の登板。これで凰稀時代の大劇場ショー作品は全て藤井作品ということになる。
凰稀をフェニックスに見立て、愛と再生を描くショーは、一つの時代の終わりと新たな時代の始まりを見事に表現した笑いあり涙ありのまさに宝塚レビューだ。
導入、神々が厳かに物語へと導く、藤井作品としてはオーソドックスな始まりだが、その後の怒涛のプロローグを予感させる。
大階段に佇み羽根を広げるフェニックスの凰稀かなめ。間違いなく衣装が引き割られてキラキラの凰稀が登場するのは目に見てわかっているのに、実際羽根が引き割られた時の高揚感が凄い。
全員が真っ赤な衣装で大階段から降りてくるのは流石に圧巻。曲と振りもマッチしていて心地がいい。
朝夏まなとが娘役を率いる、緒月遠麻が男役を率いるという構成も、朝夏の軽さ、緒月の雄々しさといったスターの個性が光る。こういう仕事をしてくれてこその座付き作家である。
「孤独だっていいじゃない」という歌詞が凰稀かなめそのものが滲み出ていると感じた。
トップスターは孤独であるとは昔からよく言われる言葉ではある。凰稀は就任以降、孤独な主人公を演じている割が高いような気がしていたからだ。最終的に恋人と結ばれたりする作品もあったが、物語中の主人公は常に孤独を抱えていたような気がする。
次代を担う宙組男役5人がプロローグ後に銀橋に残る。七海・澄輝・愛月・蒼羽・和希がキザリ倒して観客を釣るシーンになっていると思うのだが、もっともっとキザリ倒してくれても良かった。特に最上級生の七海のキザリ不足が気になる。女役を多く経験しすぎているせいなのか、男役としての表現のバリエーションの少なさが気になってしまった。
凰稀かなめが七変化する「伝説の宝鳥」はとにかくスッシーナ、ミリオーネ、キタロールのキャラが立って笑いを誘う。緒月に関しては「風の錦絵」の小僧役、「RIO DE BRAVO!!」の警察署長役に匹敵する立役で持ち前のコメディセンスを存分に発揮していた。
凰稀・怪盗カナメールのコメディセンスも炸裂する 七変化では若者からお年寄りまで早変わりでみせた。そしてラストはお待ちかねと言わんばかりのドレス姿。マーメイド型のドレスが凰稀のスタイルの良さを引き立て美しさを倍増させる。美しさを見せつけながらも男役声でセリフを言ったりと笑いも逃さず狙う貪欲さである。凰稀で芝居のコメディ作品も見たかったと思わせられる場面となった。
朝夏まなと率いる宙組屈指のダンサーたちで繰り広げられる「サラマンダー」。コンテンポラリーダンスのような動きでみせる妖しいダンスシーンだ。
朝夏はダンスが武器なのは周知の事実だが、コンテンポラリーでも身体能力の高さをみせた。とにかく手足の可動域が広い。手足が長いとも言う。他のダンサーには見られない朝夏独自の動きが出来るのは、これから真ん中に立つものとして良い武器になるだろう。
中詰めは鳥達のコレクション「ビューティフル・バード・レヴュー」。スターが鳥達に扮し歌い継ぐ。
一つ惜しいなと思ってしまったのが、衣装のバリエーションが少なかったこと。ピンク系で統一したのだと思うが、銀橋を歌い継ぐ鳥達に衣装の差異がほとんど見られなかった。歌詞で自分の鳥名を言ってはいるが、衣装から鳥のモチーフが感じられたら視覚的にも楽しめたのではないだろうか。
しかし歌い継ぎが終わりフェニックスを迎える舞台上がほぼピンクに染まる感じは圧巻だった。どちらを取るかといった感じなのだろうか。
凰稀・朝夏・緒月の3人で熱く客席を盛り上げる場面は、この並び最後にして最高に暑苦しい場面となった。
宙組のロケットはいつ見ても平均身長が高いなと思うのは、列が中高に構成されているからだろうか。今回も真ん中3人ほどは男役だったような気がする。特に実羚淳は前回に引き続きロケットで真ん中を射止めている。ダンスを買われての抜擢だと思うが、やはり男役たるもの早くロケットから抜け出して、男役ダンスも習得して欲しいようにも思う。
黒と白、2つの人種が対立している戦場のような場面「火の鳥」。白の愛月ひかる・黒の蒼羽りく、二人のせり上がりを見て、ついにこの二人が場面を率いるようになったのかと少しの感動を覚えた。上級生が一気に抜けてしまったという要因もあるかもしれないが、新人公演を卒業して今が正念場の93期、ますますの活躍を期待したい。
白黒の対立の中、黒の朝夏と白の実咲の愛が芽生える。時期トップコンビということもあるが、この二人は本当に恋人役が似合う。ロミオとジュリエットのようだ。二人を見守る火の鳥の凰稀は安寿ミラの火の鳥を思い出す衣装に見を包み、独特なダンスをみせる。
争いの絶えない世界を火の鳥自ら終わらせてしまう。
平和の象徴として緒月と風羽が現れ歌う。この歌が優しく、力強く再生を願い胸に響く。緒月は今まで聞いたことのないような慈しみを帯びた優しい歌い方で、風羽はこれまでの宝塚生活の集大成とも言えるソロ歌唱であった。
復活したフェニックスを讃え、白と黒の間にも愛があふれるわけだが、ここはトップサヨナラ公演ともあって宙組の絆を見る場面ともなった。
我々ファンにとってはタカラジェンヌ同士がプライベートで仲が良いかどうかは知る由もないが、舞台上での配役を超えたコミュニケーションを見ると、あぁ、応援できてよかった、これからも応援するぞという活力になるのは不思議である。そんな不思議な力がタカラジェンヌにはあるのだと改めて感じ嬉しくなった。
物語終焉に向かわせる神々の登場後、一気にフィナーレへを突入する。
大階段で名曲「愛の宝石」がかかる。「愛の宝石」といえば近々のショーで悠未ひろが歌い上げたのが記憶に新しい。
悠未ひろが一緒にいるんだという錯覚に襲われる。
悠未も凰稀時代になくてはならないスターの一人だった。トップより上級生という立場、宙組設立当初からの生え抜き生であるという立場で組を引っ張っていたスターだった。
悠未だけではない。どの時代でもそうだが、凰稀時代にもたくさんのスターが宝塚を去った。どのスターも確かに宙組に存在し、輝きを放っていたスター達だ。
凰稀が自身のサヨナラ公演の大階段でこの曲を歌うということが、かつての退団者を彷彿させ、一緒に生きたことの証であるように感じているのは私だけだろうか。演出家はこれを狙っているだろうか。ファンではない方や初見のお客様には伝わらないかもしれないが、その演出はファン泣かせの演出であると思わざるを得ない。
今回のデュエットダンスの構成を私は初めて見たかもしれない。何組かが一緒に踊るものや、トップコンビを2番手が見守るものなどは今までもあったが、3人を1人づつ組むデュエットは初めて見た。
戦友とも言えるだろう同期の緒月遠麻、次の宙組を託す朝夏まなと、お披露目からトップコンビとしてやってきた実咲凜音。各々とのデュエットダンスに個性があり信頼と愛情を垣間見せる。凰稀はトップスターとして孤独を抱えていたかもしれないが、決して独りではなかったと思わせるデュエットダンスだった。
そして凰稀が1人大階段を背に感謝を歌いあげ緞帳が降りる。
凰稀の時代が終わるという演出だろう。劇中に緞帳を降ろしてしまう演出には度肝を抜かれたが、再び幕が上がると次期トップコンビがエトワールとして構え、次の時代の幕開けを予感させるのだ。
一つの作品の中に終わりと始まりが詰め込まれたレヴューだ。
初めて見る観客には伝わらないことも多い構成なのかもしれないが、色彩やコメディなどは初見さんにもおすすめが出来る、他組ファンの方にも是非見てもらいたい作品である。
前回に引き続き高声低声風ですw
知り合いから長過ぎると苦情がきましたが、知ったこっちゃねぇえ!!w
いつも劇評みたいな感じで書こうとすると、どんどん長くなって、最後のほうで「もういいや!」って端折っちゃったりするんですが、今回の2本は端折ることなく根気強くかけたなぁ…!
愛だな。

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砂山
砂山
宝塚ファン歴研20になりました。 観劇の感想や生徒の魅力、宝塚ファン初心者さんがもっと知りたいことなどを、私の知ってる限り発信していきたい! 宝塚について一緒に語ってると楽しいなコイツ!ってところを目指しています…!
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