観劇記・感想・作品考察

宙組大劇場公演白夜の誓い観劇記

とうとう宙組大劇場公演が始まってしまった。初日は観劇することは叶わなかったが、初日開けてすぐの公演を2回観ることができた。
『白夜の誓い』はグスタフ3世の半生を描く作品となっているが、正直半生を詰め込みすぎている。詰め込むが故に言葉で説明せざるを得なく、舞台上では何も起こらない。「舞台でやる必要あるか?」と思わざるを得ない。ドキュメンタリー映画にでもしたら観やすいかもしれない。
登場人物の気持ちの流れもぶつ切りである。役のテンションを高めていくための標が脚本から読み取れないことほど辛いことはない。
演出上盛り上がるべきシーンもなかなか効果がない。
グスタフ・ヴァーサの伝説の剣を手にする場面、本作品で一番象徴的になるべき場面をなぜセリ中でするのか。あの場面はもっと時間をとってもいいし、平舞台にしても凰稀かなめの演技力を持ってすれば空間を埋めることができたはずだ。更に次場面がリリホルンとクランツの2人の場面であるならなおのことだ。対話の場面であるなら前場を象徴的にみせる演出ができると思う。
ロシア艦隊との攻防戦も本作品のハイライトとなる場面になり得るはずだが、兵士の数で押し切られたような印象でしかない。特に凰稀時代の宙組を観てる身としては、「アムリッツァ会戦(銀河英雄伝説@TAKARAZUKA)」という素晴らしい艦隊戦を観ているのだ。舞台を半分しか使えない、陣形変化もさしてない、平面的な構成で艦隊戦と言われてもただのノーマルなダンスシーンとしか思えない。非常に残念である。
特に今回場面数が多いのだから、どの場面を魅せたいのがか、メリハリをつけて構成してほしい。
この中で、説得力をもってグスタフ3世を見せてくれる凰稀かなめの演技力はさすがである。留学中の青い若者から王への目覚め、クーデター、友との確執と激しい物語展開の中でしっかりと筋を通してグスタフ像をみせてくれる。演出不足もカバーしてくれているのはありがたかった。
実咲ソフィアと伶美イザベルとの愛の違いも確実に成立させ、物語終盤でイザベルをスウェーデンへ呼び寄せるところは観ていて清々しかった。
グスタフとソフィアが政略結婚から徐々に心を通わせていく様子は、凰稀と実咲の関係性にオーバーラップさせて作っているのだろう。お互い就任までなんの接点もなかった二人がトップコンビとなり、本公演では恋人役として絡むことは少なかったが、うたかたの恋やロバート・キャパでは切なく美しい恋愛模様をみせてくれた。このトップコンビの集大成のような役どころになっているのではないだろうか。
朝夏まなと演じるリリホルンも裏切り、葛藤、自殺未遂と激動だが、グスタフに傾倒していき共に闘う様は朝夏とたぶり、組子を引き連れて踊り戦う様は正しく時期トップの姿だった。リリホルンは父と兄の立場を弱みとしてクランツににぎられているようだが、そこがあまり実感できない。恋人役の瀬音リサには悪いが、唐突な恋人との場面を入れるならば父や兄との場面が欲しかった。
凰稀と同期で、同じく今回で退団する緒月遠麻のアンカーストレムも設定を本人に被せてきている。凰稀と緒月の幼馴染設定は、かつて『凍てついた明日』でもあったが、雪組での10年を経て凰稀のトップ就任と共に宙組で再会し、同時に退団することを知ってるファンには嬉しい設定である。
しかし、アンカーストレムの役自体にも書き込みが足りず、緒月の感情表現がスムーズに行っていないところがみてとれる。まず軍人であることよりも、グスタフの幼馴染であることの方が強く出過ぎているからではないか。グスタフとの意見の対立の場面は、二人の演技力のお陰で成立していると言っても過言ではないだろう。アンカーストレムの血の気の多さや軍人としての振る舞いを山賊もどきたちに襲われるところでもっと出して欲しいところだ。山賊もどきをアンカーストレムが殺そうとするのを制するグスタフを描いてはいるが、流れてしまっている。アランがオスカルに本気で斬りかかる時くらいの尺をとってもいいくらいだ。
グスタフと意見が対立してしまったアンカーストレムに暗殺を唆すベールヴァルド役の凛城きらの休演に伴い、代役の実羚淳が同役を務めていた。実羚自身芝居をまともにやるのは初めてだろうか、少し荷が重すぎる感が否めない。科白を言うのがやっとで説得力を持たせられないのだ。これではアンカーストレムは唆せられない。特に緒月ほど存在感の強い役者が相手ならなおのことだ。結果緒月アンカーストレムの単独犯のように見えてしまう。
凛城には科白に説得力を持たせるパワーと技術がある。緒月と対等に渡り合え、かつ唆すことができるのは、今の宙組の中では確かに凛城きら一人である。早く復帰して、そのやり取りを見せてほしい。そして実羚にはこの機会に科白を言うという事をしっかり学んでほしい。
農夫で山賊もどきをしてグスタフを襲い、後にグスタフを支持するニルス役に七海ひろき。ますます荒くれ者役が板についてきた。むしろもはや荒くれ者しかやれなくなっているのではと心配になるくらいだ。若く熱血なイメージが宙組の兄貴的ポジションで成り立っているが、そろそろ既視感が生まれてきている。『モンテ・クリスト伯』のヴァンパや 『the WILD Meets the WILD 』のベンジャミン、『ベルサイユのばら』のアラン、似たイメージの役が続くなら、圧倒的な演じ分けが必要ではなかろうか。これは役者の裁量によるところが大きいと思うが、前にやった役に似ていると思われるのはどうだろうか。
澄輝さやとや愛月ひかる、蒼羽りくなどの主演経験者の活躍はあまりなく、目立っていたといえば農夫ロビン役の星吹彩翔だ。ニルスの弟分なのだろうが、一緒に出てきては通る声で存在感を示した。
風羽玲亜も本作で退団となるが、持ち前のクールさと悪どさで悪役を演じた。また松風、天玲、春瀬と悪役の合う脇を固める役者たちの存在感も宙組ならではである。
今回の作品で凰稀と緒月、そして二人に関わる宙組の芝居が見納めだと思うと正直物足りない。だか有無を言わせぬ説得力のある演技で作品を成立させてくれる信頼感は絶大だ。千秋楽に向かうに連れ作品が更に進化して行くことを期待して次回の観劇に備えたい。
今回は趣向を変えて、歌劇巻末の高声低声風に観劇記を書いてみましたw
フランク観劇記もまたあげますw
ショーの感想も絶賛まとめ中!

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砂山
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宝塚ファン歴研20になりました。 観劇の感想や生徒の魅力、宝塚ファン初心者さんがもっと知りたいことなどを、私の知ってる限り発信していきたい! 宝塚について一緒に語ってると楽しいなコイツ!ってところを目指しています…!
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